建設業許可の必要性について
建設業許可の取得は非常に煩雑な手続きです。許可を取得した後についても毎年の事業年度終了届出や会社の役員、住所等変更のたびに届出の手続きが必要となります。費用についても、許可更新のたびに必要となりますので、事業者としても許可取得前より負担が増える事となりたいへんですよね。
しかし、建設業法では以下の理由から建設業の許可制を定めているのです。
主な目的は2つです ◉適正な建設工事の確保 ◉発注者の保護 |
建設業の主要件は4つ
▪建設業経営経験のある管理者がいる ▪建設工事を29工種に分けそれぞれに応じた技術者がいる ▪財務的な余力がある(資本金又は純資産が500万円以上ある) ▪経営者(役員)の社会的な素行に問題がない |
建設業の特性
建設・建築の工事というのはほとんどが受注生産になります。このことは発注者が完成品を確認して購入する一般の購買とは異なり、契約後の完成品について詳細なイメージが湧きにくいものになります。しかも、概ね建設・建築物の契約金額は高額になるケースが多く、素人の発注者側から見ると完成の良し悪しも分かり辛いものであります。建物が完成して何年後かに倒産してしまうような、技術力も資金力もない会社に高額の工事契約を発注する事は避けたいというのは、誰もが思うことだと思います。簡単に言いますと、手抜き工事や、会社の倒産等で発注者等の取引関係に迷惑をかけないために一定の許可基準を設けているのですね。
許可取得に必要な時間と費用
先ずは建設業の許可を取得するまでの時間がどれ程かかるのか? 許可要件をすべて満たしていることを前提に示します。
・申請事業者様の情報を受取り、許可申請書を作成します。通常1週間もあれば十分可能です。 ・申請に必要な添付書類を収集します。(納税証明書や身分証明書等)こちらも上記に含み1週間。 ・自治体の申請窓口へ申請書を提出します。 申請窓口では申請書に記載された内容に不備等がないかチェックをし、万一追加の記載事項や書類、修正等を指示さた場合は、その補正まで含むと4~5日程度で受付まで完了します。 許可通知までの期間は自治体によって異なりますが、熊本県のケースであれば現在は受付から15日程度、福岡県の場合は少し時間が掛かり2月程度であります。 |
・必要な費用の内訳は、書類作成、申請代理費用、申請書に添付する収入証紙、公的な証明書の費用となります。事業者様の役員の数や、役員様の本籍地により身分証明等の収集に実費費用を要したり、会社の状況によっては窓口での折衝に時間を要するケースがあり、多少費用がかさむケースもありますので予めご理解を頂きたいと思います。 ▪書類作成、申請代理費用 99,000円~130,000円(申請会社の状況により異なる) ▪収入証紙代(一般知事許可) 90,000円 (大臣許可) 150,000円 ▪公的書類収集費用(実費) 2,000円~ほど 役員数による ▪上記を合計すると、一般知事許可の許可取得でかかる費用は概ね240,000円~となります。 |
現在の建設業許可
元請、下請、個人、法人を問わず建設業を営もうとするもの(建設工事を請け負う者)は、軽微な建設工事を除いて、29種の建設業の種類(業種)ごとに、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければなりません。
1つの工事あたり500万円以上の(消費税込み)工事を請負う場合は必ず必要となります。 また、建築一式工事の場合は1500万円以上となります。 |
▪許可を受けなくてもできる工事(軽微な建設工事)とは、以下の工事になります。 |
建築一式工事のケース ▪一件の請負代金が1,500万円未満の工事(消費税を含んだ金額) ▪請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事 (主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上を居住の用に供すもの。) |
建築一式工事以外のケース ▪一件の請負代金が500万円未満の工事(消費税を含んだ金額) ▪1つの工事を2つ以上の契約に分割して請け負う時は、各契約の請負代金額の合計額となります。 ▪建築一式工事とは、原則として元請業者の立場で建築確認を必要とする建物の新築・増築など、総 合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事をいいます。 |
最近は500万円未満の軽微な建設工事しか行なわない建設業者の方でも、元請け(発注者側)から建設業許可の取得を発注の条件とされる事が増えている事や、顧客や一般消費者への信用力アップの為に、建設業許可を取得される方が増えています。また金融機関から融資を受ける場合にも許可があると有利となるため、ご相談も増えています。
熊本県の場合、新規許可申請してから許可がおりるまで約半月程度必要です。また、福岡県においては2~3月程度かかる事もあります。
許可申請の要件のなかでも、
- 経営業務の管理責任者
- 専任技術者
の人材確保は大変ですので、要件をしっかりと確認し、建設業の許可申請をご検討されてさい。